明治期京都粟田口最大の窯元、七代錦光山については今更贅言を費やす必要もないと思います。高級百貨店として知られるロンドンのリバティ百貨店の当時のカタログには、Imari, Kaga, SATSUMA wareと並んでTaizan and Kinkozan wareと日本を代表する陶磁器のひとつのカテゴリーとして錦光山製品が紹介されています。
出品の品も、その錦光山全盛期に製作・輸出されたデミタスカップです。添付写真でお分かり頂ける通り、当時の日本の人々の姿が実に丁寧に描かれています。カップやソーサーの縁には細かな花詰文様が施されてあり、それだけでも上手の品物であることが分かります。おそらく、Royal AlbertのFlower of the month seriesなどと同様に、欧米顧客の注文に応じて、12ヶ月12セットで作製されたものの一つと思われます。 本作では、カップが4月、ソーサーが5月になっています。ただ、Flower of the monthなどと異なり、明確に季節を表してはいないようですが、カップの一つ一つ、ソーサーの一つ一つ、全てに違う絵付けをしているのには驚くほかありません。